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ぶぜんのモノづくり② 漆芸作家 廣田洋子 インタビュー

漆芸(うるし)作家のアトリエへ

豊前市今市(いまいち)
豊前唯一のショッピングモールである、
「フレスポくぼてんタウン」からほど近く。

住宅街の中に漆芸作家、廣田洋子さんの自宅兼アトリエはある。
現在、今年で7回目を迎える『漆のうつわ展』を開催中とのことで訪ねてみた。

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一見、普通の住宅だが玄関を入ると
たくさんの作品が並べられていた。

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まず、お話を聞くまえに作品を見せていただいた。

廣田さんの作品たち

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2016-11-30

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色鉛筆のように見えるマドラー。とてもかわいらしい。

p2050731素敵な模様の入ったものや、きれいな色がついたものなど
様々な種類のうつわや漆の作品がおいてある。

廣田さん曰く、

「100円均一で安い器が売られている現代では
漆は高いというイメージがありますが、その分安全に長く使っていただけます。
例えば、最近は災害が多いですが、
ガラスや陶器なら落ちて割れてしまうこともありますが、
そのへんは漆なら大丈夫。
子どもが配膳や片付けをしても割れる心配をしなくていいし、
福祉関係にも使っていただけるのではないでしょうか?

また、そんなにすぐ破損することはありませんが、
もし壊れたとしても、修理して使うことができます。
だから、数少なく長くつかっていくようなスタイルに適しています。」

すぐに捨てずに長く使う。
エコの観点や今はやりのミニマムスタイルにも
漆は合致するんじゃないかと思う。

実用的な廣田さんの作品

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廣田洋子さんといえば、このでこぼこの文様と技法。

「堆漆塗り(ついしつぬり)」という技法で、
ジャンルとしては変わり塗りの中のしぼうるし塗りに属するそうだ。
以前は「変わり塗り」とだけ呼んでいたそうだが、
数年前に、古い文献に出ていることを発見し、
「堆漆塗り」と名付けたそう。

当初この技法は確立されておらず、
完成させるのに相当な苦労があった。
例えば、漆の特性として厚く塗ると縮んでしまう特性があるが、
しかし、厚く塗らないとでこぼこの文様が描けない。

どうすれば、厚く塗ることができるのか?

漆芸仲間と研究に研究を重ね、試行錯誤の結果
ようやく安定した技法にすることができたのだそう。

そのあたりを詳しく聞いてみると、卵白と漆の配合や、
乾燥の仕方を調整して、漆の層に厚みをだすことに成功し、
でこぼこのある文様をはっきりと付けれるようになったということだ。

この技法の特徴は
装飾と実用性のバランスに優れていること。

でこぼこがあるので、質感がよく、手に持った時に滑りにくく、
なおかつ、文様としてははっきりしているので、
目で楽しむことができる。

あるエピソードを聞かせてくれた。

「中途失明の方とお話しする機会があったんですね。
普通の漆器はつるんとしているのが多いので、目の不自由な方には
触ってもどんなデザインになっているか分からないけれど、
堆漆塗りだとでこぼこがあるので、手で模様を楽しめるんです。
気づけばその方と、2時間もお話ししていました!感動しましたよ!」

思ってもみなかった実用性を気づかせてくれたと廣田さん。

このことがきっかけになって、
この技法を続けたいと思われたのだそう。

「私の食器は堆漆塗りで、使いやすく剥げにくいので、日常使いもしてほしいです。
抗菌性もあるし、でこぼこで傷が目立ちにくいです。
亀の子たわしでガシガシ洗っても大丈夫ですよ。」

実際、私も廣田さんのところで購入したお箸(当時3500円)
を使っているが、まったく変化がない。
卓上で転がったりしないし、ごはんをつかみやすくとても気に入っている。

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インタビュー

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少しお話しをさせていただいて、インタビューにはいった。

Q.漆芸に興味をもったきっかけはなんだったのですか?

最初はぜんぜん違うところから入ったんです。
母が家庭科の先生で、その影響か小学校のころ手芸に興味がありました。
自分で作ったりして、だんだんと自分で作ること、手仕事が好きになっていったんですよ。
で、小学校5,6年生のころにはもう、「手仕事で暮らそう!」と決めてて。

―もう将来を決めてたんですね。早いですね。

だって、家でできるし、自由だし(笑)
中学の時は親にお針子さんがしたいって言ったら反対されて
「高校はとりあえず行きなさい」と。
結局、女子美術大学まで進学しました。
でも、大学って広く浅くっていう感じで、深いものが身についてなかったんですよ。

で、どうしようかって思っていた時にたまたま貼ってあった
『漆芸研究所』のポスターを見て、四国の香川に行くことにしました。
それが漆芸との最初の出会いです。

Q.仕事になると思ったのはいつ頃だったのですか?

その研究所のころ、学生が自分の作品を一般の方に売るという機会があるのですが、
一般の方が欲しい作品に投票するんですよ、で、抽選して当たった人が購入できる。
その時にいつも学生の中で得票数が一番だったんですね。
これならいけるかもと思いました。

Q.苦労することはありますか?

当初一つの技法に絞れなかったりして、色んな技法を取り入れたりしてました。
その中で、絵を描くことがあったんですが、私、以前は絵を描くのが苦手で…。
けれど書いてるうちに「つばき」の花もいろんな種類があるということに気付けたり。
色んなことをやったおかげで、そういうことに気づいてからは
一つの技法に絞れなかったのもよかたんじゃないかなと思っています。

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Q.漆を広める活動もされているそうですが?

はい、もともと祖父母が家具屋をやっていて、
そこで漆器を仕入れていたんですね。
で、それが今もウチに残っていたりするんです。
それを見てると、とても趣があるので最近のプラスチック製品は風情がないなと感じます。
そういう思いから、縁をいただいて子供たちに漆の良さを伝えさせていただいています。

漆はペンキのようなただの塗料ではなく、行程で化学変化をさせたりと
けっこう複雑でおもしろいんです。

そんなところを気軽に感じてもらえるように、最近は子どもたちには、
クリスマスプレゼントとして持ち帰れるような
ペンダントを作ってもらっています。

お母さんにプレゼントしてくれたら嬉しいですね。

Q.豊前についてお伺いしたいのですが、

生まれ育ったところなので、いいところだと思います。
そこに自然があるというのが魅力です。
美術大学時代に東京に住んでいたのですが、
東京は求めないと自然が近くにないという感覚でした。
豊前は雨が降っても緑がキラキラしている感じがします。

あとは、食材でしょうか。
この時期はありがたいことに、アミ(港で獲れる小さなエビ)がいっぱい届きます。
スーパーにハモがおいてありますし、極め付けはスッポンをバケツに入れてそのまま
売っているところ!
そういった食べ物もおいしいですし、のんびりしていて住みやすい
豊前はいいところです。
(以上、インタビュー)
お忙しい中ありがとうございました!

漆のうつわ展 12月26日まで!

p2050771たくさんのお話しを聞かせてくれた廣田さん。

そんな廣田さんの『漆のうつわ展』は12月26日まで
10時~19時ごろまでアトリエを開けていますとのこと。

ぜひ、この機会に初めての方も漆器に触れてみてくださいね。

これからも、実用的な漆をたくさんの人に使っていただけるよう、
ぶぜんらいふ。も応援していますね。

廣田洋子 漆歴

【廣田洋子 漆歴】
昭和41年 福岡県豊前市に生まれる
63年 女子美術大学芸術学部芸術学科卒業
平成 3年 香川県漆芸研究所 研究生課程修了
日本伝統漆芸展初入選
5年 香川県漆芸研究所 研究員課程修了
彫漆作家 北岡省三氏に師事
福岡県美術展初入選
6年 福岡県豊前市にて独立
福岡県美術展福岡県教育委員会受賞
日本工芸会西部工芸展初入選
7年 日本伝統工芸展2点初入選
西部工芸展 浦添市長賞受賞
8年 豊前市文化功労者賞受賞
9年 西部工芸展 浦添市長賞受賞
10年 福岡県美術展西日本新聞社賞受賞
11年 福岡県美術協会会員となる。
日本工芸会正会員に認定される。
16年 西部工芸展OAB大分朝日放送賞受賞
17年 西部工芸展大分市長賞受賞
18年 求菩提資料館にて個展
20年 西部伝統工芸展朝日厚生文化事業団賞受賞
21年 北九州市立美術館分館にて三人展

 

イベント名 漆のうつわ展
ジャンル 芸術
開催日時 2016年11月25日~12月26日
住所 豊前市今市136-1(グループホームほうらい隣)

アクセス 【徒歩】宇島駅から徒歩11分

【車】宇島駅下車タクシーで4分

【駐車場】駐車場はアトリエ前に1台。

連絡先 0979-82-5088
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ひでさん
浄土真宗本願寺派のお坊さんで3児の父。お寺と地域の活性を目指して日々奮闘中です。夢は豊前を仏教王国にすること。そのために、お寺を中心としたコミュニティ「お寺まちづくり」を推進中です!
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